こちらのページは、定例の稽古会で講師を務める林 久仁則からのご挨拶となります。
講師:林 久仁則
ご挨拶:2014年10月より発足した いにしえの会で、定例の講師を務めさせて頂いております。私が武術に惹かれたのは、運動生理学やスポーツトレーニングを学ぶ中、身体のよく分からない奥深さに魅了されたこと、特に甲野善紀先生の技に触れたことで、探究心が一層強まったためです。人間の動きにはどのような可能性があるのか?その原理や背景にある心身の技術を身につけたい。この探究心が今も自身の活動を支えています。
発足から携わったいにしえの会も、2024年10月で10年を迎えました。これまで278回の稽古会が開催され、約3,500名の方々にご参加いただいています(2024年11月現在)。
継続の支えとなっている全ての関係者や会の運営に尽力いただく皆様に、心より感謝を申し上げます。
「いにしえの会」というネーミングは、会の設立に奔走された大石初代会長の感性で平仮名が充てられました。いにしえより残されてきた伝統や継承文化の中には、先人の残した技や型に潜む、巧みな身体性があります。身体運用や理合いを見い出すということは、先人のメッセージを読み解く一面があると考えます。そして、それを活かしていくということは、身体感覚を磨く中で見つかる新しい物事の捉え方、切り口、視点があると考えています。その新しい気づきこそが、現代に生きる私たちにとっての価値となるでしょう。
上野は東京藝大近くの寛永寺、その一角に「施無畏(せむい)」と刻まれた石碑があります。「施無畏」とは、他者の恐怖や不安を取り除き、安心を生み出すという仏教の教えのようです。
武術を通じて、自分の中にしなやかな強さの軸を育てるということは、日々の生活を営む私たちにとって重要な意味を持ちます。その確かな身体性が、心の羅針盤となり不安や怒りに飲み込まれない強さを養います。簡単ではありませんが、行動の変容に結びつけられる、そんな 稽古の場を積み重ねていきたいと思います。
ご縁あり、当ページをご覧になってくださった方へ、ぜひ稽古に足を運ばれてみてください。
(2024年11月1日 追記、修正)