稽古帳(稽古内容忘備メモ)

参加者による振返り、参考図書リンクを紹介

最新の稽古会内容
(板書写真と稽古風景)


160回稽古風景


159回の新規体験会



特別講座第一部



特別講座第二部

第160回 新規体験者+定例稽古を合同にて実施(35名参加)
〇 一人稽古の取組み方
☆ 段階を追って(気づきを得やすく)
力み → 脱力「力の抜き」 → 全体性       
意識を別の点へ(外在化)
☆ 受け押さえるほうが大切 全力で受け止めるのではなく、相手にとって程よい抵抗感を引き出す。
自信のある方は、互いに確認して、力の伝え方を探求 
初参加の方と現行の会員ペア、トリオで
自己紹介後組む
杖の取り扱い(道具の貸し借り) 
〇 体感を重視、感じる内容を言葉にする感覚
〇 相互に学びあう 
・四つん這いの背中を上から押す 脇を閉じ手腕の力みをなくし、鼠径部に力を入れ上半身を起こす・正座から立つ 肩を上から押さえる 重さを忘れて立つ
・杖を使って 取りと受け押し合い
・両手の組み方、手の甲側を合わせて組む効果を感じる  八の字を描くように動かす、頭の後ろで組み片脚立ちをする・四股を踏むなど 新しく参加された方、何人かと交流ができました。(輿石さん作成)


第159回 AM新規希望者向けの体験会、PM特別講座
20名の参加者へ、なるべくお一人お一人に、講師が実際に技や体の姿勢、感覚的なものを直接お伝えし、自宅でも試せるような、分かりやすい体技などをお伝え致しました。

特別講座も、午後一部、二部ともに盛況に終わりました。
特別講座の第一部は、小関先生による、ヒモトレの理論、背景、活用法、実践者の報告、体験者の効果など動画で紹介があり、その後実際にヒモを着けて体験し変化を確認した。第二部は、「ヒモトレから見えてくる主体性のあるカラダ・全体性を保つ動きとは~」をテーマに報告動画と小関先生と林先生の対談、その後、ヒモトレ、バランスボードを体験し、効果を確認した。 多様なヒモの付け方、効果を学びました。(輿石さん作成)

第158回 全体性と力みの抑制、対人稽古
全体性ある動き・一人稽古の極め方
・セルフ1批判、過評価/ セルフ2 無意識的な働きに任せる  
“集中対象の外部化” 姿勢の自動調整 
・ボールの受けと取り ボールを回転させないように相手に高く投げる 指先に触れた感覚を大事に、音を立てずに重心を下げて徐々に丁寧に受ける
・浅め四股と腰割り 腰回りで骨の配列を整え、ふっと力を抜き、股関節から折って腰を下ろす、片脚に体重転換を力みなく左右に連続して浅めの四股
・股関節の意識、上半身は前傾しない、また脇の下に力が入る
・不安定による体重の利用:蹲踞の姿勢で押しあう
・向き合って腕で押す 押すだけでなく当たっている腕の力をゆるめる など ボールを受けるこ、投げるに集中し、全身が良く動きました。(輿石さん作成、林追記)

◯午後より新規希望者・体験者用講座
10名の参加者の方々へ、なるべくお一人お一人に、講師が実際に技や体の姿勢、感覚的なものを直接お伝えし、持って帰れる分かりやすい体技などをお伝え致しました。


第157回 身体操作の基礎②、姿勢の探究、対人稽古
新規体験者へ林先生から いにしえの会の趣旨説明
・姿勢の取り方 二人で組んで確認
・呼吸臍下丹田 坐位の押し合い
・大和座り 股関節の内旋による、肚との連動
・立位で「地に足を着ける」実感を増す姿勢
これら基本姿勢を踏まえての諸動作、鍛錬 「練る」ための要素について 1)動きの双方向性、2)制限がある中での姿勢と動き 
正座の見直し 骨盤の調整:自身の力み抜ける納まりの良い位置を見つける、背骨を緩め 腿の上で手の平を上に向け自然に
・押し合い(取りと受け)大和座り or 坐位で相手と親指を上に向け手のひらを合わせて(首筋後ろ:後頭結節あたりを天地に伸ばしつつ、骨盤ゆるく後傾(仙骨の下方移動)、膝を浮かさない)
・壁に向かって手を広げ、親指側に上肢を内旋。背中の筋を働かせ、腰を下ろし下までしゃがむ
(輿石さん作成、林追記)

第156回 身体操作の基礎、体づくり紹介、対人稽古
新規体験者へ定例講師林より いにしえの会の全体説明
W-up、推手の応用:半身立位のペアで体を崩しあう、可動域や左右上下、前後の可動域を確認
・杖回し・脚を開き杖を脚の付け根に挟み上半身を前傾せず腰を落とす・杖またぎ(身体ほぐし系のメニュー)
・押し合い:坐位で相手と親指を上に向け手のひらを合わせ力の伝え方、身体の中の通りを確認(首筋の後ろを天地に伸ばす、背すじ伸展、坐骨を床方向へ)押す動作に引く要素を内包する(相手への力は変化しない)
・ 中庸とは:片寄らず、中正なこと。真ん中というより両方の特性を備えた特性を得ること
・小関先生のワークショップより
自然体:作意や意図は自然界にはない、不自然の”不”要素を取り除く 自然体、集中、状態への注目など。抵抗感なく伸びやかな動き ヒモトレの紹介
・小磯先生の釣り合いなど 新規参加者との良い交流ができました
(輿石さん作成、林追記)

◯第155回(つくばとの合同稽古+甲野先生特別稽古会)
第1部では、相互の技術交流
・坐位での押す力の伝え方 
・姿勢の構造・・・踵と後面の使い方・・・骨盤の働きの確認  
・意識の作用  二人一組の杖を用いて 
・呼吸の在り方 坐位 坐骨を床に落とし、上半身をゆるめ、押されて耐える 
立位 杖を両手で持つ相手を押す 壁、万里の長城のイメージで
坐位 杖を相手に向かって持ち押す 腹圧をかけ、背面に力が入る
第2部では、甲野先生によるトーク、特別稽古会
最近の術理の気づき、身体の変化、社会について
部分だけではなく、身体全体を使う、  
手の指、腕、足の動きなどで、相手を軽く持ち上げる、動かす  素早い動き、ヒモの効用など   
筑波の皆さんとの久しぶりの交流、荒々しい組手、自主練など  久しぶりの参加者、新規参加者、みなさん充実した時間を過ごされました。
(輿石さん作成、林追記)

◯第154回:講師体調不良で欠席、自主稽古会
・身体ほぐし スワイショウなど・振り返り  
骨格模型を用いて、骨盤、股関節、大腿骨、大転子、腸骨、寛骨、座骨、仙骨の構造、位置、その動きを確認   
座骨を刺すとは・・・各人の骨盤後傾の姿勢を確認     
肩甲骨を動かすとは・・・・肩をすくめる、下げる、腕を伸ばし手のひらを旋回   
相対で力をつたえるとは・・・肩甲骨をひらく、力まない、脇を絞める(前鋸筋)、骨盤後傾、身体を整える、腕を上げるのではなく肘を下げる
・質問コーナー プランクの違い、 浮きとは
 骨格を知り、少しですが理解が進みました。(輿石さん作成)


◯第153回:先週の質問に応え、呼吸と胴回りの関連性と動き作りを丁寧に
・習い始めの感覚さぐり
主要4点(肩甲骨、骨盤、股関節、足指・足)
身体の内側→呼吸・呼吸筋
固定しながらも関節を動かす、回す
制限をかけながら動くことで可動域増
姿勢を整え(調身)→呼吸を整え(調息)→おのずと心が落ち着く(調心) 呼吸 鼻で吸う 横隔膜が下がる深い呼吸 腹回りが膨らむ 四つん這いになって
肩甲骨を開き骨盤を後傾 肚をへこまし背中を伸ばす 肩甲骨をつけ胸を突き出し頭を上げる 反復 肘は伸ばしたまま右左と肩甲骨を出し可動域をのばす 
骨盤を床に刺し開脚 肚から前傾 上半身は前向き、下半身は横に流し座りで膝頭が正面に来る状態で後ろの足指を開く 膝先から下を上に挙げる 大腿骨から回旋次に手を離して膝を90度に挙げる 
深層筋:呼吸は腹腔内の圧が高まり体幹姿勢の安定性に影響を及ぼす。うつ伏せで呼吸時の背骨の動きをチェックする(スパイナルウエーブ)
相対で押す、受ける 肩甲骨を開く、力みをなくす、骨盤後傾、身体を整える
資料参照しました図解はわかりやすいですが、内容が難しく咀嚼できませんでした。本日の動作を自主練します。(輿石さん作成、林加筆)


◯第152回(2022年稽古初め):身体を練る、四股の姿勢、呼吸との関連について学ぶ
・腰割り→四股(浅め)上半身前傾しない、力みなく、骨盤はゆるやかに後傾、膝は自然に曲がる お尻の筋をゆるめ、膝は足先と同方向に、股関節に体重を乗せる→四股(深め)上半身前傾しない、膝90度、でっちりにならない、脚幅広く、骨盤後傾を維持  大腿部外旋、肚を膨らました状態で片脚に体重を乗せ、脚の間の五角形の    空間を維持しながら脚をゆっくり挙げる。つま先からゆっくり着地する。
☆脚は前にならないよう横に挙げる。正しい姿勢をお互いに(または鏡で)確認 
・杖の押し合い  首を伸ばし骨盤を立て、座骨を畳に刺す。肚回り全体を意識、杖の握りは柔らかく 前傾すると自分の強い姿勢が崩れる。
・自宅でできる稽古
・やわらか腕立て(もしくは膝立て)・プランク(深部の体幹筋) 体幹の奥(肚の奥)が重要、接点は柔らかく、肩甲骨を開き続け骨盤後傾、膝の裏、足の後面を伸ばして維持。
(輿石さん作成 林加筆 )


◯第151回:力みではない押し、接点の圧を変えない、姿勢変化(移動)の力の流れを応用する
(つくば稽古会より大川さんが参加、稽古交流しました)
・下駄の効用 ①足の骨の広がり ②指の操作感 ③中足骨に 軽くヒモをまくとねばれるようになる
・姿勢と呼吸の確認 吸気の時も呼気の時も腹内部からの膨張圧 胴回り全体を膨らます 杖を使って 組む 手で押す力みを肚腰の膨張感で押す、前傾しない 呼吸を意識
・蹲踞の姿勢で押しあう
・杖を両手で頭上に掲げ腰を下げる(姿勢確認) 前傾しない
・杖を脚の付け根に挟みお尻を下ろし上体を起こしながらさらに沈む 内転筋の伸びと股関節の伸び感じやすい
・杖またぎ つま先から挙上を特に意識して(肚の奥で脚をもちあげるイメージ)
・横からの押し:手の位置は変わらず触れているだけ身体を遠くから小刻みに寄せてくる → 押すためのエネルギー
・拳骨で相対する 全てに共通しているのが姿勢と呼吸
相手ではなくその向こうを意識して組む (輿石さん作成 林加筆)

◯150回:呼吸への注目、呼吸筋や呼吸のメカニズムを現時点でまとめ紹介
大きく深く 肚周りの動きを体感する  吸う、吐く 横隔膜…周囲にある筋への影響
腹膜 多裂筋 骨盤底筋 内腹斜筋 大腰筋 腰方形筋 ・・・図で確認
・大和座り正座 片腕を耳に沿わせて上にあげる 吐ききったところで深呼吸そのまま上半身を右左へ曲げる 
・手の内は力まない、伸筋を作る握り 部分の過度な力み → 全体性が失われがち 猫の手で、膝をついた腕立て伏せ
・指先をのばし手のひらを開き続ける形 脇まで伸びる 身体の側面、あばら骨の部分を緩める 可動域が広がる 上虚下実に通じる
・内転筋 股関節で動く 開脚前屈、胡座前屈、うつ伏せ足裏を合わせ御尻を踵へ 壁の前に立ち壁に沿って上下する
・階段を上るときも足裏に力感を出さない(輿石さん作成 林加筆)

2014年10月より、月2回の稽古を基本とし(感染症対策で会場使用不可もありましたが)150回の稽古を積み重ねてきました。自主的な運営や探求に協力いただく全ての方に感謝申し上げます。
からだのことは分かってきたと思っても発見や工夫は尽きません。探求を継続し続けていきましょう!

◯第149回:姿勢のつくりから、接触面の大事なポイントの稽古、家でできる稽古内容の紹介
身体の作り方:接触面を柔かく → 日常の中でも
・下駄(固さのある支持基底面)足の変化
・柔らかすぎるベッド vs 固さのある布団 
末端の伸びやかさ → 全身への影響 指先、手の形、指の形 支持接触面に重要なポイント
腕立て伏せ(四つん這いになり膝をついても良い)手、ひじ肩、自分の力みを感じる
ついている手も含めて1か所に力を入れない
息を吐きながら部分の力みを抜く
・ 腰割り → 股関節の捉え 仙骨 足裏の接触面の柔らかさ
ヤンキー座りから起つ ストンと力を抜きしゃがむ 力まない 
お尻を挙げてから立つと腿の四頭筋が働いてしまう
・力まずに動く 四つん這いになる ①組んだ人が背中を押す ②左右に揺する 意識は力まない③膝をつく位置をより下にして試す
・お尻をつき両足を上げる 腹筋ではなく股関節回りで座ると押されても揺るがない
①押し合い:体の表面の筋が力むと弱くなる ②上から抑える:股関節で捉えていると肩を抑えても立ち上がれる
・手の指 指先に力 腕を伸ばして身体を動かす 末端から全体の可動域を広げる
・握り方 指先をのばして握りこむ 相手を押す力が増す
・片脚立ち 反対の足を身体の側面に沿ってあげ、上半身を足に近づける
・杖またぎ、杖くぐり など お疲れ様でした(輿石さん記述 林加筆)

参考図書(クリックでリンクに飛びます)
原初生命体としての人間」野口三千三 岩波現代文庫 体の内面的理解、総合的考察に感動します
四股鍛錬で作る達人」 松田哲博  元力士による相撲の稽古探求や意味、古来相撲の考察

◯第148回:からだラボ 山口潤先生の講座を受講した内容の理解を落とし込み検証。相互術理の学び合い。
・杖を使用した2人組でのUP、柔軟、杖くぐり、杖またぎ、丁寧な釣り合い、浮き
・著書の紹介:分離的構造としての筋肉ではない。頭皮から首、背中、腰、脚、足底まで繋がった検体の筋写真。
筋筋膜・結合組織 全体結合の構造を含んだもの。
・下駄の効用・構え(姿勢)の効用・木の台の効用 台の下に空間があり何段重ねてその上に立つことで姿勢に及ぼす影響が異なる・・・耐震構造、足の骨構造の仕組み
・足半(あしなか)鵜飼いなど昔の職人が使用
踵重心になり安定感が増す 
最後の股関節のストレッチは、即効でした。
(輿石さん記述 林加筆)

参考図書(クリックでリンクに飛びます)
古武術でカラダがみるみる甦る高橋佳三さんによる古武術的な動作や稽古の総まとめの著書アナトミートレイン」医学書院 筋膜構造の繋がり、人体とテンセグリティー構造、結合組織の解説武術革命」考えるな体にきけ!」日野晃さんの人体の動き、姿勢、力の流れについての解説書

◯第147回:身体の構造の解釈 
―右と左  
―剣の持ち方(幅狭い)右上左下 西洋でも同様 
―杖や長物 (幅広い)
・相手と両手で押し合い 手のひらと片手は甲で押す
交差しての押し:右が縦方向に強く、左が水平に開く
(韓氏意拳の光岡師範の教えより引用させて頂いてます)
・身体ほぐし、呼吸の理解  
・手のひらを、親指、人差し指と中指、薬指と小指の三つのまとまりにし、指間を開き、指先に力を入れる腕を耳のわきから後ろに伸ばす、背中に後ろ手で平行に伸ばすと普通より伸びる事がわかる。(指の効能
・杖を足元と三角形になるように身体の前で杖を起てて優しくつかみ、床から1センチほど持ち上げる。身体のまとまりができ、杖を持たなくとも身体がまとまる 
・杖を持っての押合い 上半身脱力、骨盤後傾、背を伸ばし、杖を床に平行に腕を伸ばすだけ 
・脚が上がりやすくなる くるぶしの骨の下、内と外を3本の指で10秒ほどほぐす 
・腹式呼吸 胴回り全体、全方位的に入る・四股・すり足 
・「站椿」全身の体の動きを見る訓練
参考図書 「上達論」「ヒトのからだ」「天狗芸術論」等々 (輿石さん記述 林加筆修正)

参考図書(クリックでリンクに飛びます):
 「上達論」 甲野先生と方丈さんによる武術や武道の稽古の落とし穴や、心構えを解説した本。 
新規会員である川口さんよりご紹介頂きました。読みやすく大変勉強になる内容です。
「ヒトのからだ 生物史的考察」 三木成夫先生:東京藝大で美術解剖を担当。ヒトのからだの植物的側面や動物的側面、呼吸運動の進化の過程から身体のなかを深く考察されています。

◯第146回:“姿の勢い”=姿勢、姿勢がもつチカラ
(骨格のつくりで、筋力に頼らない、力の流れの通りの良さ)

お互いが良い姿勢の場合での押し→拮抗する→より低い重心、相手の重心を上げる作用を働かせる、浮きの効用
①姿勢②浮き の順での確認
杖を用いた運動 胡坐または正座で受けと取り 
杖は平行に押す譲る 立って受けと取り 骨盤の後傾に伴う背骨の伸び・肚回りをまとめる
うつ伏せになり背中に力が加わった時 手首に力を入れず浮かす 骨盤を後傾し跳ね返す 
股関節の動きをほぐす ストレッチ  ヒモトレの紹介 等々
プロボノチームの皆様フミコム田邊様、体験参加ありがとうございました。)

剣道八段の高橋亨先生(東京藝大名誉教授)より、指導中に習った言葉として「大きな動きを伴なっていないが内的感覚は動いている。高速回転するコマは一見静止しているように見えるが、実際はコマが回転する動きにより安定している。」というものがありました。一見、静止の様にみえても、内側の働きを活かしている。このことへの理解が、浮き・表面に見えない操作として重要になります。

◯第145回:全身のほぐし, 股関節の捉え, 背中の上下感覚, 杖での釣り合い, etc
・ 釣り合いの原理(杖を用いた肩甲骨、体側、身体背面)
・杖を用いた可動範囲(捻り)、釣り合いの前方向と横方向(身体の使っていない部位を動員する稽古)
・受けと取り 押し合い 相手を崩す
・目はつぶらない、杖の先を見る 全身をまとめ、杖を体から離し、相手の方向に押し出す
・杖の押しで力を貰う:杖を上下させず、壁に跳ね返されるように体は後ろへ(パントマイムの感覚に近い)
・ヒモたすき掛け (首の回しへの効果: 次回紹介します)
・腰割り:足先から膝がでない位置で上体を前傾せずに腰の上げ下げ・四股:脚を上げるのではなく股関節に重さを載せ逆足を一の動作で挙げたい
・股関節のほぐしの動き⇒片脚跳びが軽くなる
・座り稽古 胡坐で足の要因を消すため杖の押し合いが分かりやすい 骨盤(仙骨)を下に伸ばし、座骨を床に押し付ける、背中の遊びをとり顎を引き、首筋を上下に伸ばす
◯休憩時間にプロボノさん派遣の日程や時期の説明

足を前後に開いた状態での杖押し: 後ろ足の踵から力を通すことや、骨盤の後傾と肚まわりの膨張による姿勢の強さについて、皆さんの理解が深まっているのを感じました。その証拠に、座位での杖押しが力みなく、よく出来ています。座り稽古は、下肢の力や体重があまり使えなくなるので、姿勢の理解が伴わないと、相手を押すのに無理な力がかかります。道具を介した稽古の意味とも言えます。

◯第144回:杖の型, 股関節の捉え, 背骨の遊びを取る, 杖での押し, 体術に応用(引っ張り)
      釣り合いの原理

・杖を使って 杖の型2種類 連続的な動き 足の体重移動 ”巴“ ”水車” 握りしめないように持つ(滑らせる手: 親指と人差し指の間)、半身転換、動きの円滑さ
・杖を持って 相手に力を伝える 骨盤後傾 仙骨(背骨の末端)を下方に伸ばす、背骨の遊びを取る 足裏に力を通す   
・呼吸、丹田を意識、力まず、杖を強く握らず、体重移動しない
・座っている相手をおこす 手の小指、薬指を握って
・足の指を動かす グー、チョキ、パー 小指の動す
◯東京ホームタウンプロジェクトに関して(小林会長, 林)  以上

◯第143回:基本となる姿勢と骨格(骨の動き)とは②
股関節、骨盤、体幹回り(姿勢と骨格)
・杖跨ぎ 股関節から脚を挙げる
・四股 股関節を捉えて立つ、何かにまたがっている感じ(五角形)を維持し逆足が上がってくる(脚だけ上げない)
・股関節のとらえ:膝を曲げるのでなく腰から下ろす、太もも前側の力みが取れやすい
☆骨盤後継でリード☆つま先と膝の向きを一致☆臀部、大腿部の外側を活かす
・体がまとまり、下半身に体重がのる:骨盤後傾、椅子にゆるく腰かけているように、大腿部の力み緊張をなくす
上半身脱力 ・肩甲骨と骨盤の連動:肩甲骨をよせ骨盤前傾、頭を挙げる。頭を下げ、肩甲骨をひろげ骨盤後傾を  ゆっくり繰り返す
・開脚前屈:骨盤、座骨を床に刺す、ローテーブルの下へかがみこむように上体を圧縮し前傾、胸を鳩尾(みぞおち)から上のほうだけ前へ引き出すイメージ(西園ミヤ先生の指導内容の伝聞)
・杖を使った釣り合い:片方が力を抜くと個体から液体へ変化するように力が増大
・体幹まわりプランク15秒(抵抗あり)
◯小林会長より全体に周知事項
◯東京ホームタウンプロジェクトの説明(林)   以上

◯第142回:基本となる姿勢と骨格(骨の動き)とは①
・肩甲骨、骨盤、股関節、足指・足裏のアーチ、指の力、指の曲げ伸ばし、足指ピアノ 足指を広げる、指の付け根(MP関節)の曲げ伸ばし、指の作り直し(特に小指)
・片足立ち軸:骨盤の入り、お尻周りをしめる 、肩甲骨を挙げる、胸郭ユニットで動かす、上下への伸び
・お尻歩き、エアープレーン改良版:骨盤を入れて片足立ち、脚を真後ろに伸ばす、伸ばした脚を内旋(骨盤を水平に)、上半身を前傾し手を伸ばす、壁を利用して実施
◯小林会長より:足裏(踵、小指側、母指球)、立方骨、大転子の位置の確認・お尻歩き、肘を曲げ腕と上半身を使って動かす、
など。

足指についての参考図書(クリックでamazonリンク):
足の小指を動かせば一生歩ける 池田書店 倉幹男(2021/5/21) ※小磯先生の同僚の方です
足指をにぎるだけで腰とひざの痛みは消える! KKベストセラーズ 中島章夫(2014/11/21)

◯第141回:言葉による身体の整え方(著書の紹介)
・指の形と呼吸への影響:人差し指と中指を追って親指で抑えグーの形で握る 深呼吸=胸式 小指と薬指を折る 残る三指はそのまま 深呼吸=腹式、座っている相手をおこす。どちらが楽か、全身から持っていかれる感覚があるか
・指先への意識(身体のまとまりを生む):指先2番、離しても指先に意識集中 力を加えられても動かない
・(股関節)足裏と力の伝達:足裏で地面を押す、全身のまとまり、つながる、肩甲骨ほぐし、大転子ほぐし、体幹を鍛える動きなど

言語やイメージで身体に影響を与える参考図書(クリックでamazonリンク):
魔法のフレーズをとなえるだけで姿勢がよくなるすごい本 飛鳥新社 大橋しん(2021/6/1)
リンク先の本の詳細に、魔法のフレーズ10があります、
1頭の中で小舟が静かにゆれています。
→重たい頭が「上方向」にふわふわ浮かぶイメージ
2背骨が鎖のようにゆれています。
→背骨がゆれながら「下方向」に垂れ下がっていくイメージ… 詳細はリンク先へ

◯第140回:姿勢とからだのまとまりで、足裏から力を通す
・杖による肩甲骨、上半身のほぐし、杖を使った釣り合い、浮き
・ボールを用いた投げ渡し(回転させない)、体の連動
・下半身、足裏、膝、骨盤ほぐし、積み上げ
・寝ている人の上体おこし 首裏の手の置き方と動かし方 
・相手の腰に手のひらを当て力ではなく足裏で力の反力がかかるように

◯第139回:小林会長ら中心の自主稽古会
①ウォーミングアップ②振り返り③リクエストタイム
・ウォーキング 左右の足に過剰な体重移動をしない、手は振らず、足も延ばさない
・半身の構え方
・ボールの下手投げキャッチボール 身体の連動 
・つま先立ち 以上、反復して基本動作の理解に努めました

◯第138回:型、動きの結果、まとまりある姿勢について
運動・動作をした結果、体にまとまりを生じさせる 
・2, 3回飛び跳ねて着地:肘を体に沿わせ、両手の指先2番(爪先と指の腹の間)を体の前で上向きに合わせて立つ、他者に押された時に生じる(感じる)しっかりした感覚
・足指:草履をはいたときの足指 末端への集中 結果、力を加えてもふらつかなくなる
・ソフトボール大のボールの下手投げキャッチボール 無回転のボールを相手にふわっと投げ 受けるとき音がしないようにふわっと受けとる、身体の連動、W-upに最適
・肩甲骨、体側、腰、股関節、足指
・杖ほぐし、杖跨ぎ、片足立ち 
・型について:蹲踞(そんきょ)〜塵手水、ガマ功、エアプレーン、杖による全身マッサージ
など

今後の予定について

(カレンダー早見表を最上部に設置しました。お役立てください。)
3ヶ月ごとにテーマを決め、継続的な探究を実践しております。
習い事には区切り、一つの節目が大切になります。継続によるご自身の変化に気づくため、
稽古終了ごとの振返り(感覚を言葉に落とし込む)の取組みも重視しています。
有志のお茶会では有意義な意見交換、交流が出来ました。今後も継続して参ります。

—–4月から6月の3ヶ月間の稽古主題—–
目的: 自分の重みや重心の操作、相手の重心の操作を学ぶ
壱テーマ: 重心操作①〜⑥のサブテーマと共に
「自身の重心と相手の重心を捉え、適切に技がかかる」効果を紹介し身につけます
弍テーマ: 武術的身体の鍛錬と動きの評価①〜⑥
「基礎的に身体を練ること、実際の自身の動きのcheckポイント」を身につけます
———-
4/6 (第1土曜) (午前午後2クラス実施日)
AM 第202回 壱テーマ『重心操作 -脱力による全体性の発揮と調節- ①』
@江戸川橋体育館 2階 多目的室 (床) 杖:有ると好ましい
9:00開場 9:15受付開始〜9:30稽古開始〜11:45目安に終了(12時までに退室)
PM後半 25回 弍テーマ 武術的身体の鍛錬と動きの評価 ① 』
@本郷三丁目 総合体育館 2階武道場(床) 杖:有ると好ましい
15:00開場 15:05受付開始〜15:15稽古開始〜17:20目安に終了(17:30までに退室)
※午後の開始時間、場所(本郷)に注意※

4/14(第2日曜)
第203回 壱テーマ『重心操作 -脱力による全体性の発揮と調節- ②』
AM
@本郷三丁目 総合体育館 地下多目的室B 杖:有ると好ましい
8:30開場 8:40受付開始〜8:50稽古開始〜11:20目安に終了(11:30までに退室)

4/20 (第3土曜)
第26回 テーマ『武術的身体の鍛錬と動きの評価
AM
@茗荷谷駅 スポーツセンター 4階柔道場(畳) 杖:有ると好ましい
9:00開場 9:15受付開始〜9:30稽古開始〜11:45目安に終了(12時までに退室)

5/11(第2土曜) (午前午後2クラス実施日)
第204回 壱テーマ『重心操作 -足裏と接触面への垂直離陸(浮き)- ③』
AM @茗荷谷駅 スポーツセンター 4階柔道場(畳) 杖:有ると好ましい
9:00開場 9:15受付開始〜9:30稽古開始〜11:45目安に終了(12時までに退室)
第27回 弍テーマ『武術的身体の鍛錬と動きの評価③』
PM @茗荷谷駅 スポーツセンター多目的室全面(床) 杖:有ると好ましい
12:30開場 12:35受付開始〜12:45稽古開始〜14:45目安に終了(15時までに退室)

5/18 (第3土曜)
第28回 弍テーマ『武術的身体の鍛錬と動きの評価
PM @江戸川橋福祉センター 多目的室(床)   杖:有ると好ましい
※予約完了が1ヶ月前のため、確定次第UPします。

5/19 (第3日曜)
第205回 壱テーマ『重心操作 -足裏と接触面への垂直離陸(浮き)- ④』
AM @本郷三丁目 総合体育館 地下多目的室全面 杖:有ると好ましい
8:30開場 8:40受付開始〜8:50稽古開始〜11:20目安に終了(11:30までに退室)

6/1(第1土曜)
合同稽古会+懇親会
『武術的な体術の交流会⑤ + 重心動作⑤ 動きの不調の捉え方〜身体の見かたと整え方〜』
(第206回 + 第29回 合同稽古)
AM@本郷三丁目 総合体育館 2階武道場(畳) 杖:有ると好ましい
8:30開場 8:40受付開始〜8:50稽古開始〜11:20目安に終了(11:30までに退室)
懇親会 本郷三丁目付近のお店にて11:45〜13:30目安(途中退出可です🍻)

6/15(第3土曜)
第30回 弍テーマ『武術的身体の鍛錬と動きの評価 ⑥』
AM@本郷三丁目 総合体育館 2階武道場(畳) 杖:有ると好ましい
8:30開場 8:40受付開始〜8:50稽古開始〜11:20目安に終了(11:30までに退室)

6/16(第3日曜)
第207回
壱テーマ『重心操作 –動きの不調の捉え方〜身体の見かたと整え方 ⑥』
AM@江戸川橋体育館 1階 柔道場 (畳) 杖:有ると好ましい
9:00開場 9:15受付開始〜9:30稽古開始〜11:50目安に終了(12:00までに退室)

これ以降の予定は、翌月1日の抽選確定後に、Webページへ掲載致します。
暫定的予定は以下の通りです(変更可能性あり)。

第208回 7/6(第1土曜)
第209回 7/20, 21(第3土日)
第210回 8/3午後①②(第1土曜)
第211回 8/17,18(第3土日)
第212回 9/7(第1土曜)
第213回 9/21, 9/29(第3土,第4日)
第214回 10/5(第1土曜)
第215回 10/19, 10/20(第3土日)
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稽古時間は場所により少し異なります。
茗荷谷 文京スポーツセンター、江戸川橋体育館では
開場9:00、受付開始9:15稽古時間9:30〜12:00まで(2.5h)
本郷三丁目 文京総合体育館では
開場8:30、受付開始8:45、稽古時間9:00〜11:30まで(2.5h)
受付係の方が、会場入口にて名簿を広げ待機しております。
また稽古の途中、適宜水分補給などの小休憩があります。
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(感染症対策で施設利用中止の期間)
2020年の3/29・4/12・4/26・5/10・5/24・6/7の6回分の稽古が施設利用不可で中止
第110回 3/8の稽古が感染症利用停止前の最後の稽古となりました。
施設利用中止期間中、
オンライン稽古会の試行を9回実施(5/10, 5/17, 5/24, 5/31,6/7,6/14,6/21,6/28,7/19)
非常事態宣言解除 2020年6月1日
7/26より感染症対策をした状態で対面稽古を再開。
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特別講座

2024年の特別稽古を企画中です。確定次第、こちらのページにてUPされます。
2023年8月6日 (第1日曜) 確定
特別稽古テーマ
『小磯直樹先生を迎えて〜治療家から診る身体の整え方と身体の使い方の最前線〜』
通常稽古テーマ
『まとまりある身体、釣り合いのとれている身体を検証する。他者や物との繋がり方の稽古』

こいそ接骨院院長である、小磯先生をお迎えしての特別講師と、通常稽古の初の同時開催。
【会場】
以下の4コマは全て茗荷谷の文京スポーツセンターです。

9:15受付開始〜9:30稽古開始〜11:30目安に終了(2h+質疑応答 12時まで退室)
AM:既存クラス(講師: 林)@ 2階多目的室B面(床)
AM:新規クラス(講師: 小磯先生) @ 4階柔道場(畳) 

   〜各自お昼休憩〜 
12:30受付開始〜12:45稽古開始〜14:45目安に終了(2h+質疑応答 15時まで退室)
PM:既存クラス(講師: 小磯先生)@ 4階柔道場(畳) 
PM:新規クラス(講師: 林)@ 2階多目的室全面(床) 

2022年以前の特別講座は下記に記載があります。

2022年4月17日(日曜) 
第一部 12:30より15:00まで @江戸川橋体育館 2F多目的室(56平米:人数制限あり)
第二部 15:30より18:00まで @江戸川橋体育館 1F柔道場(198平米:定員45名程度)
(広く感染症対策もしっかりなされている場所です)
バランストレーナー、小関勲先生をお招きした特別講座を企画します。
開催に当たっての文章を下記に掲載しました(3/15)。

第一部では、ヒモトレ未体験の方や、丁寧な解説を求める方へ小関先生の直接指導が得られます。
第二部では、小関先生・定例講師の林と対談の時間を設け、全体性という概念への理解を確認し、ヒモトレの最新の動画をご紹介頂き、実際に動きに応用させる稽古、また小関先生が指導する韓氏意拳の考え方も含めて、全体で稽古時間を設けていきます。
(詳細は以下です。申し込み先はこちらより)

一部:12:30-15:00 @多目的室(56平米)。
定員に達しました。キャンセル待ち順番をお伝えしています。
ヒモトレが何か分からない方向けに、じっくり基礎から取り組みます。
12:15〜開場・受付
12:30〜開始
「ヒモトレ考案者と深めるヒモトレ、感じ方と動かし方」
前半60分、ヒモトレの理論や背景、注意点とどういう活用法などが理に適っているか
(書籍内の実践例や、実践者の報告、変化など)
後半60分、今現在のさまざまな巻き方の体験、その効果、実践
質疑応答〜
いにしえの会員   2,000円
会員外、一般参加 4,000円


二部:15:30-18:00 @柔道場(198平米)。
全てのいにしえの会の会員さん、一般の方を対象 (45名程度)
あと2~3名なら受入れ可能。都内の講習会は非常に貴重です。
申込み状況40名程度 ※4/15 10時現在

15:15〜開場・受付
15:30〜開始
「ヒモトレから見えてくる主体性のある身体・全体性を保つ動きとは〜」
ヒモトレと身体メカニズムの対談(30分程度)
「森を見ながら木を見る:全体性から見たカラダと主体性の在り方について。」
小関勲 × 林久仁則

16:00〜ホワイトボードに動画投射しながら説明・実践(30分程度)
全国各地の取組み、実践の報告動画、バランスボード、ココロのバランスボード
16:30〜17:50(80分程度)
身体の使い方や動かし方の実践、主体性のある身体を保つとはどういうことか?
一人稽古のやり方
17:55〜終了、挨拶
いにしえの会員 2,000円 (一部二部通しの場合は1000円割引)
会員外、一般  4,500円 (一部二部通しの場合は1000円割引)
参加者45名程度

申し込み先はこちらより

◯特別講座の企画に際して〜 定例講師の林より
小関先生と初めてお会いしたのは16年前、2006年です。当時大学院生として姿勢(バランス)の研究、パフォーマンスとの関連の探求、母校大学アメフト部コーチをしていたタイミングでした。都内で開催されるバランスセミナーに多様なアスリートが通っており、興味を持ち参加したのがきっかけです。その時はバランスの話しよりも、認識の仕方が大切という大前提を捉え直されていたのが印象に残っています。
「バランスを取ろうと過度に調整している状態はもうバランスを失いつつある、勝手に取れている状態の身体の伸びやかな状態を大切に。」
「主体性を奪わないこと、過度の働きかけはむしろ逆効果。」
などのヒントを身体を通して働きかけてもらう内容でした。小関先生は韓氏意拳という武術の指導者でもあるため、この体感に伴う学びが印象深いものでした。身体の居心地の良さは本人の主観的なものであり、各自任せとして軽視してしまう一面がありました。身体とパフォーマンスを理解する際に、科学的な目線でしか考えていなかった自身の視野の狭さを痛感しました。その後も小関先生からは身体をどういう観点で扱うか、深い示唆を頂き交流が継続し、今回の特別講座に結びついています。

NHK趣味どきっ! 第7回和装とヒモの関係性についての踏み込んだ考察について・・・

2013年11月頃、小関先生のヒモトレが著書として紹介されています。初学の方向けの導入本はこちら。以下の文章は、「身体に巻くことと動きへの影響について」です。

まず、身体にゆるく巻くことでの皮膚感覚、意識(無意識で)の変化、そうした微妙な作用が身体の全体に作用を与え、力発揮のし易さが変わるということの捉え方です。そもそも、なぜゆるく巻くのか? コルセットの様なイメージを先に持ってしまうと、ここに違和感が生じます。これに対する説明は明確で、下図にあるように、当人の主体的な在り方を邪魔しない、あるかないかの存在感が良いとされています。過緊張(力み)は程よくゆるめ、ゆるめ過ぎ(過脱力)には程よく張りを出していく。ヒモをきつくぎゅっと結んでしまうと、逆に身体の中での主張や存在感が出過ぎてしまい、動きのぎこちなさ(パフォーマンスの悪化、からだ全体のまとまりが消失)が目立ちます。この効果は衣服の上からヒモを巻いても効果がでます。直接肌にまとわずとも、ただそこにあるという意識(あるいは身体上の認知変化)の影響が想像以上に大きく作用するのです。
ヒモトレのサイトより引用

ヒモトレの効果を知った多様な方が、その魅力に基づき各々の現場で検証をしているのですが、特に、四肢に機能障害のある方に目を見張る効果(可動域の改善、歩容の改善)が出ること、老若男女問わず再現性があることが興味深いです。(理解のしていない)子どもでも効果ははっきり出てきます。事前情報がなくても変化が出ることから、プラセボの一種などではないと考えられます。また、昔の体を使う職業人(修験者、強力(ゴウリキ)、武士や農民)にも脚絆(きゃはん)や膝蓋骨の下に紐を巻く行為が記録され、日本と距離のあるインド・東南アジアの諸国にある武術には今でも上腕や頭への鉢巻き(タイのムエタイ)、日本では相撲の廻 まわし(ふんどし):まわしには下帯という別称あり。が伝統的に続けられていて、身体への効果を実体験の中から仕事の中に活かしていたことが推測されます。

(左:鉢巻、ふんどし、草鞋を身にまとう飛脚)
(中央:昔の火消し(消防)のたすき掛け、足袋、草鞋)
(右:腰に巻く帯状のものの着用)
(下:タイのムエタイの着用品 鉢巻、上腕、腰紐)

身体に巻く行為と、その時の自分の身体との距離感を大切にするのも特徴の一つです。

ヒモトレの小関先生は「ゆるく巻く。それをそのままにしておく」ことを大切にします。身体で明確に意識できるほどの変化が生じない微差のため、当人としてみれば物足りなく疑問も出てきます。全体性が変化するということの特徴とのことです。ですので、同じ条件で力の出し方を比べて初めてその変化に自覚できるような具合です。再現性は高い特徴を有します。
※注意 力士のまわしは人によりますがキツく締めています:付き人2~3人がかりで絹の廻しを霧吹きの水をかけながらきつく締める。締めた後に下腹から力が湧き出る感じが明確にあるとのこと(舞の海さんより)※

こうした身に付けるものの卑近な例として、舞台に立つ方の化粧の効果も聞きます。付けまつ毛、まつ毛そのものを根本から上げると、目周辺の筋-感覚的な変化が作用し、視覚の働きの差異や気持ちの変化が実感できる様です(化粧が意識と身体感覚に与える影響の一部)。
これらに共通するのは、装飾による見た目の変化以上に、その当人が内的に知覚する世界が(身体上の認知を含め)変化するという、身体性に委ねた枠組みの方が変化している、ということを仮定しています。私自身、和装の絹の肌触り、身に纏った柔らかさ、ゆったりとした感覚は、身にまとって実感して初めてその良さが分かります。呉服屋に勤務し長年袴(はかま)を履いている男性店長は、通常のズボンでは下半身に何も着ていない様なスースーする感じで物足りなく、結果的に袴(はかま)に戻ってしまうとのこと。袴の帯や、下腹に意識の届く装いの効果は、剣道や武道に親しむ方には理解頂けるのではと考えます。

ヒモトレのサイトより引用

もう少し単純な解釈も直感的に働くと予想されます。例えば気のせいではないか?ということも。

思索を進める取っ掛かりのために、生理学的にこうした感覚刺激の入力(皮膚感覚や体性感覚)が運動の制御や脳内での感覚と運動の統合処理過程に影響を与える研究が報告されていますので参照になさってみて下さい(和坂先生は大学院の研究室の先輩で、キネシオテープなどの効果も張力による触覚情報も無意識的に重要な働きしているのではとコメント頂いております)

和坂俊昭先生:https://www.jstage.jst.go.jp/article/isciesci/61/11/61_453/_pdf/-char/ja
運動遂行時の運動情報と感覚情報の脳内統合過程 (2017)

東北大学の研究:①自分の身体に気づくための2つの処理過程を発見
~リハビリテーションなど身体認知のメカニズム理解へ~(2019)

東北大学の研究:②約 100 年信じられてきた身体概念を修正
〜運動するときの「心の中の身体」は一つではない〜(2022)

これらが科学的に(客観的に)再現ができる実験として確認されている報告となります。
ご自宅などで身近に感じるためには、以下の身体を用いた体感が有効です。カラダラボの山口先生より教えて頂いた内容です。

ある程度の重さのある、棒状のもの、ゴルフクラブ程度の長さのものを両手に構えてゆっくり素振りをします。この棒の重みを体感した後、握る位置を変えずに、その両手の周辺に(棒の付け根のあたりに)、軽くて重みの実感が湧かないスカーフなどをふんわりと巻きます(極薄のビニル袋でも代用可)。そうすると、その視覚情報とスカーフの柔らかい重さのない視認と触覚情報が統合され、持っている棒が非常に軽く振れるようになります。

これは、身体を練って稽古して素振りが軽くなる身体操作とはまた別の、人間の認知や認識、感覚情報を統合するプロセスに働きかけた一種の錯覚的なものと予想できます。ただ、そうした身体上の認知が動きや重みの知覚に影響を実際に与えているのを実感できます。

体感をもって理解することで、ヒモの効果をどう捉えるか?についても、ただストレッチ的な延長と捉えるのか、身体で実感をもてる全体性の在り方を具現化するきっかけとして捉えるのかによって、その後の身体との向き合い方に大きな差が出てくると思います。
“主体性のある身体の変化”、このテーマを特別講座では扱い、掘り下げて、身体の理解を少しでも深めていこうと試みております。

◯申込先・問合せ先はこちらより

ーーーーーーーーーーーーー過去の特別講座概要ーーーーーーーーーーーーー

2022年2月20日(日曜) 
12:30より17:30まで  @茗荷谷駅 文京区スポーツセンター4F柔道場
(広く感染症対策もしっかりなされている場所です)

いにしえの会150回の稽古記念、つくば身体操法研究会200回の稽古を迎え、
記念の稽古会として武術研究家の甲野善紀先生をお招きした特別講座を企画します。

前半は、合同稽古会を実施して技術交流、途中休憩を挟み、後半に甲野先生のトークから最新の術理の解説と、杖を用いた実践的稽古も含まれる予定です。
詳細と申込みは以下をご参照ください。(終了イベント)
いにしえ/つくば 合同記念稽古回 2022.2.20 @茗荷谷